プレシャス・ムーン

 エリと別れて帰路に着き、ふと公園の横を通り過ぎた。

 時計を見ると、すでに10時を回っていた。

「……」

 ピタリと足を止める。

そうだ……この公園だ……あの時は、確か突風に私のスカーフが飛ばされて、この公園に入り込んだ。

追いかけて、誰かが私のスカーフを拾ってくれた。

「すいませーん。それ私のです」

 近づいたらその人だった。