「ミカおはよ~」
「おはよーエリ」

 いつもの朝、いつもの大学。

 彼との出会いと別れのあと、ミカはしばらく放心状態だった。

 何も手に着かず、講義もうわのそら。でも今は強くなった気がする。

 彼と出会ったことで私は何かが変わった。そんな気がする。

 不幸なんかじゃない。私は、それを証明するため笑って「幸せだ」と、生きていく。

 彼の悲しい笑顔なんて、見たくないから。

 想像したくないから……幻想のような出会いに、私は『現実』という色づけをする。

 彼は、確かに私の目の前にいて、存在していたのだから。