プレシャス・ムーン

「破壊……って」

 眉をひそめるミカに、「そういう者たちは善人ではない。犯罪組織の事が多い」苦笑いでベリルは言った。

 そして沈黙が再び空間を支配した。これ以上は言えないのだろう。ミカはそう思った。

 そして自然に彼の腕に手を回す。なんだかすぐに消えてしまいそうで、ミカはそうした。

「……」

 ベリルはそれを無言で見つめる。

 しばらくすると、ベリルはミカの腕をゆっくりほどいた。

「!?」

 ミカはビクリと体を強ばらせる。