プレシャス・ムーン

「……」

 それから、しばらくの沈黙。

 ミカは今までにないくらい頭をめぐらせた。

「もう会えないんですか……?」

 自然に出た彼女の言葉に、ベリルは驚きの表情を見せる。

「お前はそういう存在に出会った」

 その声にミカは涙がこぼれた。

 そんなミカに、彼は少し困った表情を浮かべる。

「名前は?」
「……浅井ミカ」

 聞いて、ベリルは小さく笑う。