プレシャス・ムーン

「……あなたは、何歳なの?」

 怪訝な顔で問いかける。それに、彼は笑って答えた。

「さて、いくつだったかな。記憶にあるのは40年ほど前か」

「! 40!?」

「私は不死の性質を持つミッシング・ジェムなのだよ」

 25歳で不死になって、20年くらいは生きているらしい。

「不死……」

 笑って言ったその表情は、どこか儚い気がした。

『永遠』という言葉はむしろ、はかないものなのかな。

 現実味がまるで感じられない。この世には永遠なんて存在しないからかもしれない。

 その中で、永遠の命というのは逆にとても意味が無いような気がした。