プレシャス・ムーン

 ミカは辺りを見回す。

「……もう全員倒したの?」

「うむ」

 シチュエーションとしては申し分ない。かもしれないけど……とミカは眉をひそめる。

「ちょっと……やり過ぎじゃない?」

「これくらいでなければ彼らには無駄だよ」

「そか」

 目を据わらせて、うずくまっている男たちを薄笑いで見やる。

 まだ実感の湧かないミカは、うめいている男たちを呆然と眺めて小さく応えた。そしてベリルに目を移す。

「……あなたは、本当に教授が言ってたミッシング・ジェム?」

 問いかけられたベリルは薄笑いを浮かべた。

「人類学でも学んでいるのかね」

 見た目とは違うしゃべり方。25歳くらいだと思うのに……何故だろう、年寄り臭い。

 不思議そうに見つめるミカに、ベリルは口を開いた。