生きる

それから二ヶ月の月日が流れた。
部屋のベッドに倒れ、寛治は天井を眺めていた。
もうボクシングは忘れて、他のことをしようと考えていた。
中学の頃、寛治はバスケ部に入っていたこともあり、久々にバスケでもやろうかと思った。
とにかく、体を動かしたかったのだ。
そんなとき、携帯電話が鳴った。
コーチからだった。
一瞬、出ようか迷ったが、寛治は静かに電話に出た。
「はい、もしもし。」
「おぉ。久しぶりだな。首の方はどうだ?」
電話越しからでも、コーチの声には威圧感があった。
普通にしていれば首の調子は別に悪くないが、少しでもダメージを与えると吐き気が襲ってくる。
「まだ、あまり。」
少しの間を置いてから、コーチは言った。
「練習だけでもいいから、参加しないか。ついでに、後輩の指導も頼みたい。」
この言葉に、寛治はある感情が生まれた。
もう一度、ボクシングができる、と。