高校アマチュアボクシング関東大会二回戦、そのとき問題は起きた。
伊藤 寛治の相手は、自分より少し背が高かった。
自分が右ストレートを出すとき、相手の右ストレートも同時に出てきた。
わずかなリーチの差だった。
相手のストレートが、寛治の顎に綺麗に入った。
崩れ落ちるように、寛治はリングの上に倒れた。