生きる

ビルの個室とは違い、借りマンションの部屋は落ち着く。
ベッドに倒れ、天井を眺めていた。
美子の脳内にはあの男でいっぱいだった。
財布に閉まった名刺を思い出し、すぐに手に取った。
新劇場社長、狩戸 誠司。
名刺にはそう書かれていた。
新劇場といえば最近できた大劇場で、美子も一度だけ踊ったことがある。
まさか、あの男が社長だったとは。
美子がその舞台で踊ったとき、たまたま社長の誠司がそれを見て、一気に心を奪われたのだ。