生きる

少し経ってから、男は口を開いた。
「踊り子さんですよね?天女さん。」
その言葉に、美子の表情が驚きに変わった。
この人、自分のもう一つの顔を知ってる。
焦りだす美子。
できれば、知られたくなかった。
男は変わらず笑みを送ってくる。
「貴方のファンです。美しく、華麗に舞う姿。まさしく、天女のようだ。そんな貴方に、こんな場所で仕事をしないでほしい。私と付き合ってください。」
突然の告白に、美子は驚きを隠せない。
そして、仕事を辞めてほしい。
美子自身も、こんな仕事を本当はしたくない。
けど、仕方なかった。
今の経済状況では職に就くのも難しく、そのため生活もキツくなる。
だから好きな踊り子と、我慢して夜の仕事をしているのだ。
美子は黙ったままだった。
男は名刺をテーブルに置いて、部屋から出ていった。
「また来ます。」
そう言い残して。