あれから、五年の歳月が経っていた。
十五歳になった嶋 竜太郎の心には、今でも塚本 彰が生きている。
今の右足にも慣れ、サッカーチームのエースストライカーであった。
サッカーをしていると、あのときのことを思い出す。
今から話すことは、竜太郎が小学五年生のときの話である。

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小学五年生の嶋 竜太郎にとって、同じクラスの塚本 彰は憧れの存在であった。
彰はクラスのリーダーで、明るく元気のある少年だった。
勉強はできるし、スポーツ万能でもある。
逆に竜太郎は違った。
クラスではあまり目立たず、勉強も運動も苦手だった。
そんな二人であったが、一番の親友同士でもあった。