全てを語り終えたシチローは、天を仰ぐようにして大きく息を吸った。


「これが、この事件の真相です。
殺意などというものは、ほんの小さな言葉のすれ違いから生まれる事が多いんです……みどりさんの譲れない部分に土足で踏み込んで来た美佳さんにも非はあったでしょう。
しかし、それに対処する方法は他にもあった筈だ……」



集められた招待客達、松田刑事、そして岡崎家の者達は複雑な表情で暫く黙ったまま俯いていた。


「そこまで深い意味があったとは…負けたよ…
シチロー」


松田が今まで見せた事がなかったような優しい微笑みを見せてシチローに握手を求めた。



「よっ♪名探偵♪」


子豚がそんなかけ声をかけてシチローを持ち上げる。


「いや、見事な推理だ!シチロー君!」


「さすがは探偵さんだ♪目の付け所が違う!」


「いやぁ~♪」



皆の賞賛を浴びて、少し照れたように頭を掻きながら屈託のない笑顔で応えるシチロー。



これで何もかもが終わったかに思えた。




ところが……