岡崎邸に来たのは、馬場よしこと小島みどりだけではなかった。


庭に停まっていた白の
メルセデスCクラスから降りて来たのは、馬場よしこの父親であり馬場建設の社長である馬場芳郎と、経済評論家の羽葉康文の二人だ。



「あれ?お父様も『美佳をしのぶ会』にお呼ばれになったの?」


見覚えのある車から降りて来た父親に、馬場よしこが駆け寄り話しかけた。


「美佳ちゃんをしのぶ会?……いや、俺は刑事さんから『犯人がわかった』と連絡を受けてここに呼ばれただけだが……」


腑に落ちない顔でシチローの方を振り返る馬場よしこに、両手を合わせて“ゴメン”とジェスチャーを送るシチロー。


「いやあ~、嘘をついてごめんなさい!君達にはどうしても来て欲しかったものだから!」


「いや、シチロー君の言った事もまんざら嘘とも言えないさ。
やはり、真犯人を逮捕してこそ、殺された美佳さんも安心して成仏できるってもんだよ」


隣の松田が、そんなこじつけを言ってシチローのフォローにまわった。