(犯人はコイツに違いない)
松田の『刑事の勘』が
そう告げていた。
「この事件、意外と簡単に片付きそうな事件だな♪」
松田は、確信したようにシチロー達の方を振り返って勝ち誇った笑顔を見せる。
しかし、その時だった!
「待って下さい!
馬場さんは犯人じゃありません!」
突然のその声に驚いて、松田もシチロー達もその声の方向に目を向けた。
「岡崎夫人!」
その声の主は岡崎夫人であった。
「何故、岡崎夫人がそんな事を断言するんだ?……夫人は何を知っているんです?」
思わず口にしてしまったのだろう。
岡崎夫人は我にかえったように、両手を口に当てて『しまった』という仕草をした。
そして、バツが悪そうに下を向いて、小さな声でこう話し出すのだった。
「実は……」
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