「失礼な!私がやったと言うのか!」
松田が馬場に話を聞き始めると、馬場は不機嫌そうにそう言った。
「いえ…まだ容疑者の一人という形ですがね…」
「え~い!ガタガタ抜かすんじゃねぇ!
この『桜吹雪』が目に入らねぇのか~!」
いつの間にそんなもん描いたのか、子豚が馬場に肩を突き出し桜吹雪を見せつける。
「え~い!この『紋所』が目に入らぬか~!」
すると、負けじとひろきがケータイ画面に映し出した葵の印籠を見せつける。
「ちょっと…二人共、
取り調べの邪魔しないでくれるかな……」
松田は呆れた顔で、まるで犬でも追い払うように手の甲を上にして、シッシッと手首を振った。
「ところで馬場さん…
犯行時間の午後8時ですが、アナタどこにいました?」
松田のその質問に、馬場の顔色が変わった。
「そ…その時間は、気分が悪くなって新鮮な空気にあたりに庭に出ていました…」
そんな馬場の言葉も、なんとなく歯切れが悪い。
「それじゃあアリバイにならないわ!ますます怪しい!」
「その時、誰か一緒にいた人はいないんですか?」
横に居たシチローがさらにそう追及すると、馬場は何故だか何か隠している様に口をつぐんでしまった。
「……………………」
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