彼氏という存在に慣れるまで、それほど時間はかからなかった。

稔太は、本当に優しくしてくれる。


稔太の愛を感じると、

あたしはこの人の“トクベツ”なんだって思えた。

そして、あたしの“トクベツ”も彼だと。


付き合ってから、初めて知ったことがある。


それは、

稔太がおばあちゃんと、二人暮らしだということ。


両親は、稔太が生まれてすぐに、

稔太を捨てて家を出た。

兄弟もおらず、血縁関係があるのは、おばあちゃんだけ。


稔太にとって、唯一の家族だった。


普段の稔太からは、全く想像できなくて。

あまり愛情を受けてない彼を、

あたしが精一杯愛そうと思った。


あたしの愛を全て、稔太に捧げようと誓った。