BLACK×HEAVEN

家の前まで行くと、思ったよりも遥かに大きい事がわかった。



「でかっ。あのばあちゃん、金持ちやったんや」



庭に池でもありそうな雰囲気。



鯉とか飼ってたりして。



有り得る。



石で出来た表札には『村瀬』と彫られている。



3段ほどの石段があり、それを上がると門があった。



門を通り抜けて、20歩ほどあるいてやっと玄関に到着する。



門と玄関の間は庭のようになっていて、そこには犬小屋があった。




『小次郎』とやたら達筆で書かれた板がかかっている。



中を覗いてみると、やる気のなさそうな柴犬が目を閉じて寝そべっていた。



「よう、コジロウ」



なんとなく声をかけてみた。



すると、コジロウはチラリとあたしを見た。



数秒間見つめ合った後、コジロウは何事もなかったかのようにまた目を閉じた。



元々あたしの事が見えてへんのか、あたしに興味がないんかはわからへん。



でもたぶん後の方。



コジロウにはあたしが見えてる、そんな気がした。