思い出に変わるまで【完】

「なんか…、守りたくなる……」

「え…?」

「葉月ちゃん見てると、なんか守ってあげたくなる」


泣いて真っ赤になった私の目を見て、宗介くんが言った。


「ごめん……」


心配かけて……、と思いながら呟くと、


「もしかして、オレ振られた?」


宗介くんは困ったように苦笑いをして頭を掻いた。


「ううん……。そうじゃなくて……」

「友達で、いいから」


言葉を詰まらせた私に、そう言ってくれる宗介くん。


「うん……。ありがとう……」


好きとか嫌いじゃなく、今の私にはきっと誰かが必要で、素直に嬉しかった。


誰が傍にいても和志の代わりにはならないけど、和志の代わりに一緒にいてくれる人が必要なのかもしれない。