「パスタでいい?」


宗介くんに連れてこられたお店の前で胸が熱くなった。



そこは偶然にも、和志とよく来ていた店……。


「あ……」


中に足を踏み入れるのがなんだか怖くて立ち止まったけど、宗介くんが扉を開けた。



最後に和志と来て以来の店内は何も変わっていなくて、二人でよく座っていた窓際の席に目を向けた。



昔の自分のように、カップルが笑って楽しそうに会話している。



「何食べる?」


席について宗介くんがメニューを開いた。


「……あ…。うん……」


私は見慣れたメニューを開けずにいた。


「何でも……、いい」