私の手首には深い傷がある。



和志がいなくなって、そんな毎日が辛くて、気づいたら自分で切ってしまっていた。



運ばれた病院のベッドで、和志はあんなに突然いなくなったのに、人間って簡単に死ねないんだと思うとなんだか悔しくて泣いた。



お見舞いに来てくれた和志のお母さんに、


『葉月ちゃんまでいなくならないで……』


と泣きながら言われ、退院して自分の部屋の絨毯が新しくなっているのに気づいて、写真立ての中の和志が笑っているのを見て、死のうなんて考えるのをやめた。



けど傷は消えなくて、ずっと隠してる。


手首の傷と一緒で、心の傷もいつまでも消えない。



この傷よりも私の和志への想いは深い……。



手首を見るたびに思い出す。