思い出に変わるまで【完】

毎日このベンチに座ってミルクティーを飲む。



やっぱり和志は来ない。


そんな来ない和志を待ちながら、二時間ほど公園の噴水を眺める。



毎日眺めている。



「あれ?葉月さん?」


声を掛けられ振り返ると、成海くんが立っていた。



「どうしたんですか?」


ぼーっとしている私の元に近づいて来た成海くんに、


「人を待ってるの」


私は微笑んだ。


「でも、来ないみたい……」

「そう……ですか……」

そんな私を見て、成海くんは何故か寂しそうな顔をした。



彼氏に振られたかわいそうな子だと思ったのかもしれない。


「そこ、いいですか?」


私の座るベンチを指差して、


「隣……、座ってもいいですか?」


確認するように言う成海くんに、


「うん……」


私は頷いた。