思い出に変わるまで【完】

「じゃあ頼んでおくね」


店長はそれだけ言って裏に入って行った。



二人残された店内で、私は仕事のことを簡単に説明した。


成海くんは以前違うコンビニでアルバイトしていたらしく、私の説明だけで仕事を覚えてくれた。



お昼の忙しい時間が過ぎ、私は成海くんと一緒に昼食をとることになった。



「葉月さん、それだけですか?」


おにぎりを一つ食べる私を見て、成海くんが言った。


「あー…。うん……。最近食欲なくて」


最近ではなく、和志がいなくなってからほとんど食べなくなった。


自然と食べれなくなっていた。


だからこれでもましになったほう……。



「体によくないですよ?」

「そうだね……。でも、大丈夫……」


痩せ細った私を見て、体に悪いとみんな心配してくれる。


両親も友達も……。


わかってる。


でも大丈夫……。



和志がいなくなってから“大丈夫”が私の口癖。