怪しい人。とは思いつつも、相手はお客さん。


『ホットですね。280円です。砂糖とミルクは?』

「いらないです。」

そう言いながらパンツのポケットから300円を出す。
毎回280円なんだから用意しようよ。と内心突っ込んでしまう。

『300円のお預かりで20円のお返しです。』

決まり文句で20円を渡すとレジの横にある募金箱へ。


そして私からコーヒーを受け取って出て行く。



この作業をもう10日続けている。

彼が来る時間は私一人なので、誰も彼の顔を知らない。
…私もだけど。


いつか…彼の素顔を見てみたい。




いつからか、彼が気になっていた。