慌ただしい いつもの朝



「行ってくる」



柊ちゃんが
スタスタ玄関へ向かう



私は慌ててキッチンを出て



柊ちゃんの後を追う



「ねぇ柊ちゃん!」


玄関に背中丸めて座り
スニーカーの靴紐をしばる
柊ちゃんに



「柊ちゃん早く帰ってきてね」



そう言う



「今夜は月に一度のチャンスだからね」


「はい、はい」



柊ちゃんの ちっとも真剣じゃない返事が少し不満な私



よいせって柊ちゃんは立ち上がり



オレンジ色のリュックを肩にかけた



振り返って手を伸ばし私の頭をくしゃくしゃって撫でて



「毎日早く帰ってきてるでしょう?」



パーカーにTシャツ

ジーンズにスニーカー


オレンジ色のリュック


いつも童顔で教師としての威厳が…………って言うクセに



他の先生みたいにネクタイをしめない柊ちゃん




そんな ところが
女子生徒にモテて



いつも心配な私