夢みる人魚姫



「そう、そして魚月はあなたを助けに行って、力尽きてしまったの」



「……………」



「もう2年、魚月はこうして眠っているの。あなたは酸素不足の状態が長かったせいで記憶の一部が欠落した。そう、魚月に関する全ての記憶がね。」



「……………」



「私は魚月の姉、一香。思い出してくれたかしら」



「……………」



ツウッと俺の頬に冷たい物が流れた



なぜ忘れていたんだろう



あんなにも大切だったのに



なぜ1人沖に出てしまったんだろう



魚月



魚月



忘れててごめん



魚月



頼むから目を開けて



なつきっ――