disillusion

「尾崎さん、これ何?」

そう言って無邪気に新しい玩具を触る子供の様に、ニコニコしながら鈴緒をプラプラと振っている。

ガラガラと乾いた音を立てる本坪鈴を驚いた様に見ている空也の子供じみた姿が、由姫は普段とは違う一面が垣間見れたような気がして、彼女には珍しい優しい笑顔を浮かべた。

「何って……見たことないの、前田君?」

「……見たことないよ。俺……海外で暮らしてたから」

笑顔で尋ねてくる由姫の質問に空也は歯切れ悪く答えた。

「海外!? 帰国子女じゃん。何処に住んでたの?」

「ん……色々。まあ、とにかく誰か探して、話を聞いてみようか」

由姫の追及を嫌がる様に急に話題を変えると、空也は社務所の方に向かって歩きだした。

二人並んで砂利道をザクザクと音を立てながら受付まで来ると、窓ガラスの横に設置されていた呼鈴を空也は迷わず押した。

呼鈴は音を鳴らすだけのタイプでビーッという乾いた音が社務所内に響いた。

暫くして白衣と紫袴を穿いた、いかにも宮司らしい初老の男性がゆったりとした動作で受付内に入ってきた。