優は恥ずかしさで空也を直視することが出来ず、上目遣いで彼が食べるのを無言で見守っていた。

「御馳走さまでした。行こうか、優君」

空也は最後の米一粒まで綺麗に食べ終わると、満足そうに腹を擦り、立ち上がった。

突然、彼がサッと右手を差し出してきた。

優はその右手の意味が分からず、キョトンとした表情でそれを見詰めた。

「改めて宜しく、佐々木 優君。君とは仲良く出来そうだ」

空也は優がためらいがちに差し出した右手を両手で掴むと、ガッチリと握り締めた。