disillusion

優のその質問を聞くと、彼は何故かクスリと笑った。

「当然。っていうか、それは序の口」

「序の口?」

「その力はまだ覚醒が始まったばかりの能力だから」

空也は笑顔でそう言うと、おもむろにトレイの上のおかずに箸を付けた。

「お腹減っちゃった。とりあえず、ご飯食べちゃうね」

黙々とご飯を平らげていく空也を視界に捉えながら、優は先程の言葉の意味を考えていた。

(……まだ他の能力も有るってこと?)

それは既に自分自身の能力を受け入れ始めている優にとって、不安よりも新しい能力への期待の方が大きかった。

自然に笑みが浮かんでくる。

「嬉しいのかい?」

いつの間にか箸を止めて、俯き加減の優の顔を覗き込む空也が尋ねてきた。

「いや……そんな事はないけど……」

優は自分の心とは裏腹な答えを返した。何故か素直に認める事が出来なかった。

心の中では新しい能力への期待が膨らむばかりだが、単純で浅はかな人間だと空也に思われたくなかったのだ。

「でも嬉しそうな顔をしてるよ」

空也はクスッと軽く笑うと、残りのご飯を平らげるべく、また箸を動かし出した。