その様子を憮然とした様子で見守る女生徒達。空也の有無を言わせない様子に抗議の声をあげられずにいた。

「さぁ、行こうか」

事の成り行きを無言で見守っていた優の目の前までくると、空也は微笑を浮かべながら彼を促した。

「ああ…」

優はそう言うのが精一杯で、空也に押し出される様に教室を出た。

「とりあえず、学食教えてよ。お腹ペコペコ」

相変わらずの笑顔を張り付かせて、優の肩をポンと叩くとさらりと言った。

「まだご飯食べてないの?」

横を歩いている空也の端正な横顔を見ながら問い掛ける。教室では後ろを振り返る事なく、ひたすら弁当を掻き込んでいた優はその事実を知らない。

「そう。女の子達に捕まってたから」

優の顔を悠然と見詰め返してくる空也の視線に、何故か恥ずかしそうに優が俯いた。

「……格好いいもんね、前田君」

顔を伏せたまま呟く様にボソボソと言う。空也は何か言うでもなく、ただ口許に微笑を浮かべて前を見据えて歩いている。

そんな対照的な態度をとって歩いている二人に何人もの視線がとんできていた。

というよりは、空也一人への視線という方が正しいだろう。