朝、優が登校して教室に入ると、いつも話し声で騒がしいクラス内がいつも以上にざわついている。何か期待する様な、そんな妙に浮ついた感じだ。

優は不思議には思いつつも、誰かにその原因を聞くことも出来ず、自分の座席へと向かう。一旦席に座ってみるものの、その原因が気になり、周りの声に耳を澄せてみる。

「女かな？」

「格好いい子だったら良いのにね」

「でも、こんな中途半端な時期に珍しいよな」

皆、思い思いの言葉を並び立てている。

（転校生でも来るのかな？）

様々な言葉を総合して考えるとそんな結論に達する。

優は意識を集中して、斜め前に座っている男子生徒の心を覗こうと試みる。

能力が発現してから十日程過ぎた今、当初不快感や恐怖を感じたこの能力にも少し慣れ、たまにだが自ら他人の心を覗くことも試すようになっていた。

そんな時、多少ではあるがこの能力にも利便性を感じずにはいれなかった。

（可愛い子だったらいいのになぁ。そして、俺と恋におちる・・。それから、あんな事やこんな事して・・うは）

優は思わず苦笑した。