優は隣りに並んできた友人に軽く手を挙げて、それに応えた。

柳沢とは小学生の時からの知り合いではあるが、よく喋る様になったのは高校に入学してからだった。

小学校でも、中学校でも何度か同じクラスになったことはあったのだが、お互いに特に仲の良いメンバーが違うグループだったこともあり、学校内で遊ぶくらいの間柄だった。

しかし、高校に入った時にはお互いそのメンバー達は違う高校に入学したので、声をかけられるのが彼しかいなかったのだ。

一年の時は同じクラスだったので、よく放課後遊びに行っては、友好を深めた。

今は違うクラスということもあって、たまに一緒に遊びに行くくらいなのだが、相変わらず仲は良かった。

「朝から難しい顔してるね?」

柳沢は優の眉間に寄った皺を見て、少し口許に笑みを浮かべている。

「……かもね。何か変な夢みちゃって」

初めて夢をみた時から人には言ってはいけない様な感覚に囚われていた優は、あまり人に言いたくはなかったのだが、朝からずっとその事を考えていたので、思わずその言葉が出てしまった。

「変な夢? どんな?」