（あの夢って何か意味あるのかな？）

優は自転車を漕ぎながら、二日連続でみた夢の意味を考えていた。

かなり早い時間帯に目が覚めた優は、嫌な寝汗を大量にかいていたので、シャワーを浴びてから家を出た。

それでも十分なほど時間的余裕があったので、今日の自転車を漕ぐスピードは滅法遅い。

自宅と高校の中間地点まで来ていたのだが、いつもより早い時間帯なので、周りにいる生徒の数や生徒の顔などは普段とは少し違っていた。

（覚醒って……どういう意味だっけ？）

少しずれたことを考えてるのかな、とは思いつつ、その言葉の意味を思い出してみる。

その間にもスローペースな優を、自転車を漕いだ人間が何人も追い越していく。

（覚醒だから、何か覚めるってことだよね？ ……何から？）

何となくは分かるもののハッキリとした意味が分からない。

少し苛つきながらも、家に帰ってから辞書で調べてみよう、と考えている時、声をかけられた。

「おはよう」

優の数少ない友人の内の一人である柳沢 篤だ。

「おはよう」