「ね、さっきの…」
「…ぁ、えっと、あの~…遅刻の反省文の用紙…先生から預かったの」
「やっぱりか…。冗談じゃなかったのな。ごめんな、藤沢巻き込んで」
「あ、ううん。気にしないで。私こそ、ありがとう」
ああ、またアガリ症発動、一気に赤面していく…
でも、言えた!
目を見てはとてもじゃないけど、俯いてだけど、御礼が言えた!
「え、何で藤沢が礼言うの?」
「あ、あの…1限の英語で先生に当てられたとき、私、本当は問題ちゃんと聞いてなくて、その…何を答えたらいいか分からなかったの。だから、相沢くんが入って来てくれて助かった…の…」
「なんだ俺、知らないウチに藤沢助けてたのな」
「あ、…うん。だから、ありがとう」
相沢くんは無意識だったんだ。私の自意識過剰…
ああ、人気者の相沢くんと話してしまった。
それもペラペラと。
人が良くて話しやすい、人気な訳だ。
誰も、見てなかったかな…?
そんなことを気にして、私は一度も顔を見ず、俯いたまま会話をしていた。


