「ほら、しっかり持て」
「!?」
ーーーー!!
相沢くんは私に覆い被さるように手を掴んで、ハンドルを握らせた 。
近い!!そして顔が熱い!!
相沢くんが真後ろに立って影が重なる。
耳元で話す声に私は胸が苦しくなって、私はやっぱり断ろうと思いきって振り返った。
「あの!!」
「うっ!?」
「!!」
私の方が驚いた。真後ろに居るんだから、至近距離になるのに何故振り返ってしまったのだろう。
危うく触れてしまいそうな距離。
反らしたら感じが悪いだろうか…
でも、心臓が耐えられない‼
「ご、ごめんなさい!!」
私は、すぐさま反らしてしまった。
「あ、あのやっぱり、相沢くんだけ走らせるなんて出来ないよ…」
「藤沢、俺の体力舐めてるだろ」
「え、いやそういう意味じゃなくて」
「大丈夫だって!俺、鍛えてっから」
「あの、だから…そうではなくて…」
「何だよ、走れないと思ってんの? 俄然、燃えてきた」
私は、全力で首を横に振った。
「っし!藤沢。俺の鞄、籠に入れて」
相沢くんは軽く足を慣らしだした。走る気満々だ。
「行くぞ!」
そう言って、相沢くんは走り出した。私は、追いかけるように自転車にまたがって、相沢くんについていった。
自転車を走らせて暫く、道順以外の言葉はなく。
互いに黙って、
ただひたすら、自転車のライトの灯りだけの暗い夜道を走った。


