それは初恋で、






「あ、いたいた2人とも。よかったぁ… 」

「湊介さん…」




湊介さんは額の汗を拭いながら、こちらへ歩み寄る。
公園内へ入っていく湊介さんを止められなかったという顔をして叶くんも一緒に入ってきた。




「無事で良かった」




早紀ちゃんは再びじわっと涙を溢れさせた。




「…やっぱり好きぃ…」

「え」




数秒前の決心が一瞬にして打ち砕かれていた。




「今、諦めるって決めたのに…」

「…」




湊介さんは早紀ちゃんを優しく抱きしめた。




「!!?」

「ありがとう」




好きな人に抱きしめられて、ありがとうと言われることは、嬉しいはずなのに。



早紀ちゃんはこのありがとうに苦しんでいる。


その優しい腕に傷みを感じてるんだ…




溢れさせていた涙の雫を次々にこぼしていく。








胸の奥がキュッとなった。