「あ~ぁ」
叶くんはそう言って湊介さんを見た。
「何だよ、俺、悪者?」
『ごめん。俺がアイツじゃなきゃダメなんだ』
「!!?」
それは相沢くんの携帯から聞こえてきた。
相沢くんは携帯を操作して音声を編集していた。
「なっ!!」
「イヤ、姉貴に聞かせてやろうと思って…」
「馬鹿! 寄こせ!!! 消せ!!」
湊介さんは赤面しながら、相沢くんに飛びかかり、部屋を駆け回った。
私は、早紀ちゃんが気がかりで、叶くんに一言声を掛けて、早紀ちゃんを探しに出た。
「藤沢!待って、俺も行く」
叶くんが玄関で呼び止めて、一緒に探しに出てくれた。


