「よしっ、書くか」
相沢くんが筆箱からペンを出して構える。
相沢くんは何の気なしにこの状況を作っているけれど、私には非常事態なんですが。
視線が恐い。視線が恐い。
悪口的な幻聴さえ聞こえる気がする。
居たたまれない‼
私は席を立つ。
すると相沢くんが私の手を掴んだ。
「どこ行くの?」
「あ、あの…手…」
手!手!手!
見られてる!見られてる!恐い、離して…!!
「藤沢は逃がさねーかんな」
「え。は、はい…」
「ん、着席」
私は、言われるままに着席した。
次の瞬間!
「相沢~、今日遊ぼーよ」
派手な3人組の女子が攻め入ってきた。
何を言われるのだろう…、黙っていよう。
もう、手遅れかも知れないけれど、大人しくしていよう。
「バカ、見てわかんねぇのかよ。俺、今から反省モード入るから」
「あはは、何それ!!そんなのその子に任せてウチらと行こーよ、ね」
「ダメだって。それからその子って誰、頼むにしてもちゃんと名前を言えっての」
「あ~、藤井さん?」
「藤本でしょ?」
「藤原じゃなかった?」
「アレ、そうだっけ?」
「…藤沢です」
「あ、そうそう、ごめん」
ああ、やっぱりまだ名前もちゃんと覚えてもらってないんだな…
何となく感じてはいたけど面と向かって間違われるのは辛いな。
「失礼だな、お前ら。クラスメイトの名前くらい覚えとけよ」
「ちょっと、間違えただけじゃん」
「そのちょっと重要だから! お前らも反省文書いてけよ」
「え~、ヤダ」
「帰ろ。じゃーね」
「また、今度遊ぼー」
笑いながら、女子は去って行った。
私は、大きく息を吐いた。


