それは初恋で、



「見てたの?」

「あ、ううん。違っ…私、教室から屋上に逃げ込んだら南さんがいて…泣いてて…それで………振ったの?」

「うん」

「どうして?」

「は?」




私、何言ってんだろう!!


でも…あんなに想ってくれる人がいるのに…




「アイツは俺にとっては春樹のいとこでしかないから。急にそんなこと言われても困る」



当たり前だけど、さっき南さんから聞いた言葉と同じ理由。



「人に好かれるなんて、すごくすごく嬉しい事なのに…」




私は、異性どころか同性にすらなかなか好いてもらえないのに。



「なんとも思ってないやつに好かれても困るだろ」

「なんとも…少しも嬉しくなかった?」

「まあ、少しは嬉しいかもな」

「良かった…」



私はたまたま早くに南さんの気持ちを知っていたから、応援したいと思っていたんだと思う。

南さんが泣いていたから、私は叶くんの言葉を聞いて少し救われた気がした。