私は周りの目を気にして俯き、相沢くんの少し後ろを歩く。
明らかに、相沢くんの方がたくさん持ってくれていて、何だか悪い気がした。距離を取って歩いていたのに徐々に近づいている。ペース…合わせてくれているのかもしれない。相沢くんが振り返った。
「藤沢、まだ重かった? 」
「ううん、おかげさまで。あの、むしろ、重くない? やっぱり、もう少し持つよ。私の仕事だし」
「平気平気。楽勝! 鍛えてっから」
相沢くんはそう言って笑ってくれた。
私はいつの間にか相沢くんの横を歩いていた。
「へー、相沢って図書委員? 意外」
!!!
いけない…
違うクラスの女子が相沢くんに話し掛けてきた。
「違ぇよ。ボランティア」
「うそ、明日槍でも降んじゃない?」
「うるせっ」
入学して1ヶ月。
あっという間に時間は過ぎて…
私には、早紀ちゃんと仲良くなるだけで精一杯の1ヶ月で。
他のクラスメートをちゃんと見ることもなかった。
ましてや、違うクラスの子なんて話したこともなくて。
でも、
相沢くんの周りにはいつも人が集まっているのは何度も見かける。


