類は、 ホールに向かって一礼すると、 ステージに背を向けた。 体中に酸素が足りなくて、肩で呼吸する。 類は後奏の演奏中のメンバーを残して、 先にステージから消えるのだ。 控室に続く廊下。 そこへ降りていく階段。 その前まできて、 立ちすくんだ。 下まで安全に降りる自信がない。 そばに誰かが来るのが見える。 でも、 類はその場に座り込んだ。