せぴあなタメ息

類は、

震える指先から意識を逸らせた。

深く息を吸う。

この雰囲気と、

紡ぎだされる演奏が、

体に絡み付いてくる。
 
もう一度、

ゆっくり息を吐いた。
 

震えが怯えが、

驚くほどおさまっていくのがわかる。



いけるかも。



類は、ステージへ、

ゆっくりと踏み出した。