「ちか-ちゃ-んっ♪」 苺果か。そんなに走ると転ぶのでは,と気が気でない。 「どうした?」 出来る限り柔らかく問う。俺の顔を見て苺果は満面の笑みで飛び付いてきた。 小柄で細すぎる彼女を受け止めるのは容易な事だ。 苺果は俺の肩に埋めていた顔を不意にあげると,一言 「だぁ-い好きっ」 と言った。俺はそんな愛くるしい許嫁の髪をそっと撫で, 「俺もだ。」 と言い微笑んだ。 そのまま苺果をお姫様抱っこしてSクラスの教室に向かう。 幸せで,暖かい,いつもの朝だ。