5分後,
1階のパ-ティ会場の扉がバンッと開いた。
とたんにパ-ティ会場の照明が落とされ,真っ暗になる。
会場は突然の事にざわめく。中には小さな悲鳴も聞こえる。
パッといきなりスポットライトが灯り,胸元の大きく開けたドレスのフリルを翻し栗色の髪をフカフカさせた少女...優音が写し出された。優音は,さっきはつけてなかった大きめのリボンを二つ髪につけ,腰にも特大のリボンが結ばれていた。…おそらく耳と尻尾を隠しているんだろう。
会場は先程とは違うどよめきに包まれる。優音の美しさと,ドレスのデザインなど問題でなくなる程の気品溢れる身のこなしに,女生徒ですら溜め息をついている。
優音はすまし顔で歩くと,司会席のマイクをとろうとしたが,司会の者が慌ててそれを阻止し,予備のマイクを渡した。優音はそのマイクを受け取り,一瞬目を大きくしてマイクを見たが,何事も無かったかの様にステ-ジに登った。
そして,
「皆さん今日はッ♪Sクラスの優音でっす!!今からぁ,投票に向けて私からサプライズプレゼントがありますっ!」
と一息に言った。
をォ-と観衆はどよめき,優音に拍手した。優音がパ-ティのバック演奏のオ-ケストラの指揮者に合図すると優雅でゆったりとした曲が流れた。…ドイツの歌曲,詩人の恋だ。

