壊れかけた椅子が 風で揺れただけだった。 先生はあたしから離れた。 「ごめん、俺こんなこと しちゃいけねぇのに」 あたしは黙って 首を横に振る。 「でも俺、あいみ見てると どうしようもできない。 自分を抑えることが できないんだ。」 ──キーンコーンカーンコーン あと5分で 授業が始まる。 メガネをかけ直し 先生はポケットから 何かを取り出した。