学校は夏休みにはいった。
 日増しに気温が高くなる。
「暑いな」
 俺はうちわで扇ぎながら縁側に座って、のんびりしていた。
 ふと塀の辺りに何か気配を感じて見てみると、ハクがひょっこり顔を覗かせていた。
「ハク」
 俺が優しく呼びかけると、ハクは嬉しそうに笑った。
 ハクが手招きをしている。
「しかたないな」
 そう言いながらも、俺も少し楽しくなり、立ち上がってハクの所に行った。
 ハクは、ひどく暑い真夏だというのに真っ白だ。ちっとも焼けている様子はない。「ハク、相変わらず白いな」
 ハクは苦笑いした。
「んで、どうした、ハク?」
 ハクは俺の家よりもだいぶ先にある森を指さした。
「森?森に遊びに行きたいのか?」
 ハクはぶんぶんと首を縦に振った。
 俺はハクの手を引いて森へ向かった。