ヨーコがはじめて学校に来た日。
みんな、緊張していました。
練習した自己紹介を、
一生懸命しました。
…通じたかどうかはわかりません。
ヨーコが同じ内容で自己紹介をした時に、
あまりの発音のよさに、ビックリしました。
…もちろん、当時の私には、
何て言ったのかはまったく理解できませんでしたけどね。

とはいえ。
前にも述べた通り、彼女はハーフです。
…日本語もうまいんですよね。
母親が日本人なんだから、当然ですけど。

彼女とは、5年生でも同じクラスになりました。
友達と一緒に、
彼女の家に遊びにも行きました。
彼女のお母さんは、日本人。
おやつも食事も、
私たちが普通に食べているものばかり。
彼女のお父さんは、ドイツ人。
日本が好きで、日本語も理解できて。
でも、やっぱり外見は「外国人」なので、
どこかヘンな感じがしました。

生活圏は違うけど、
同じ「コドモ」です。
いっぱい話をしました。
日本に来た時には漢字が苦手だったヨーコは、
友達に教えてもらいながら、
帰国直前には、漢字で名前が書けるようになりました。

だから…
彼女が、ドイツに戻った時は、
すごくさみしかったです。

それ以来、会ったことはありません。
彼女の住んでいた社宅は取り壊され、
大きな道ができました。
当時のクラスメイトさえ、
彼女の存在を覚えている人は少ないでしょう。
でも、私の記憶の中には、
人生初の「国際交流」が、
今でもはっきりと残っています。

ひょっとして、
ドイツ語やドイツの文化に惹かれるのは、
この時の経験があるからなのかな…
でも、勉強するにはあまりに難しい言語なので、
NHKのドイツ語会話を見るくらいで
とどまっています。