とはいえ。
相手は留学生です。
日本の文化を学びに来たのです。
ただ、「親しい」だけでは、ダメなのです。
私の友人も同じことを考えていたようで、
何かいい方法がないかと、
模索する日々が続きました。

夏休み。
近くのホールで、
高校生向けに歌舞伎をやることになりました。
先生がパンフレット持ってきてくれて、
「一緒に行ったら?」と言うので、
チケットを取ってもらうことに。
日本人にとっては、それなりに身近なもの…ですが、
ウェンディにとっては、初めての経験。
「日本で、昔からやっている舞台なんだよ」
そう言っても、わかるはずがありません。
というわけで、
手分けして、パンフレットを英語に訳すことに。
直訳したり、意訳したり、
わからないことは先生に聞いて、
それでもわからなかったら、
図書室で本を借りてきて、図説。
ウェンディがどのくらい理解してくれたかはわかりません。
でも、
お互いにとって、いい意味での
文化交流になったのではないかと思います。

修学旅行に行く時も、
班は一緒ではなかったのですが、
宿泊先の部屋が同じだったこともあり、
たくさん話をしました。
交換留学生として日本に来たのに、
ホームステイ先が決まらず、
町が用意したアパートで一人暮らしをしていたため、
彼女も人恋しくなっていたのかもしれません。
興奮しすぎて、
夜寝付けなかったみたいで、
次の日、ちょっぴり眠そうでした。