「寂しいからよ? 氷吾だって小さいころはよく泣いてたぢゃない。 お母さんがいないとすぐ泣いてすぐくっついて、 氷吾もお母さんも寂しがりやなのよね?」 フフッと笑った母親は夜の姿なんて微塵も無いくらいに優しい笑顔だった でもいつからか母親は毎日同じ男を連れて来るようになった その男はタクヤと言うようで毎晩毎晩母親はあのイヤラシイ声で「タクヤ」と鳴き叫んでいた 氷吾が小学5年生くらいの時だった 帰るといつもいない母親の靴があってその隣にどう見ても男物の革靴が並んでおいてあった