タヌキは立ち上がりながら、
「なに、村人がいなくなったと?外から来た人間だと?」
「そうです。誰もいなくなった村に、軽バンで男たちがやってきて、村の中を見て回っていたのです。僕は物陰に隠れて、彼らを見ていました。彼らはしばらく村をうろうろしていましたが、日が暮れる前に軽バンで帰っていきました」
タヌキも他の動物たちも押し黙った。
「タヌキ爺、マーキングでしょうか!?」
子狐がタヌキに尋ねた。
タヌキは子狐の質問を無視して、周りの動物たちを見回した。
「この中で、足の強いもの何匹かで村までひとっ走り、様子を見に行ってきてくれ。これは、なにか良くない予兆かもしれない」
タヌキの不吉な予言に、動物たちは小さな体を寄せ合って震えた。