…リレーに参加するんだ。
そう頭の隅で呟いて、無言で南口を指で差したわたしの腕の動きを、目で追った彼。
『いつもグラウンドで写真撮ってるでしょ?ついピースしたくなるんだ。俺、アンカーだからピースするから撮ってよ』
顔の横に上げた両手でピースをし、ありがとっ!!と、わたしが指で示した方向へ、笑顔を残し勢いよく駆けて行った。
ぽかーんと馬鹿みたいに口を開けて、目を何度もパチパチ瞬きを繰り返すわたしに、遠くでまたピースをした腕を高く上げた彼は、表情までは伺い知ることはできないが、きっと満面な笑顔なんだろうなと思った。
いつもの、好きな笑顔。
話したのがそれが初めて。
唖然としたわたしは一言も話せなかったけれど、それがきっかけですれ違いざま話すようになったんだ…。
…懐かしい。2年しか経ってないのにね。



